【疾患概念】
硬膜の内部,脊髄の外側に存在する腫瘍を脊髄髄外腫瘍,硬膜内髄外腫瘍とよぶ.馬尾に発生した場合は馬尾腫瘍,椎間孔を経て脊柱管内外に発育したものは形態から砂時計腫(ダンベル型腫瘍)とよぶ.
【頻度】
脊髄硬膜内腫瘍の約80%を占め,神経鞘腫が最も多く,髄膜腫,神経線維腫が続く.まれな疾患として,悪性末梢神経鞘腫,孤立性線維性腫瘍(血管外皮腫),海綿状血管腫,類皮嚢腫,転移性腫瘍,粘液乳頭状上衣腫,傍神経節腫などがある.
【病型・分類】
神経鞘腫は,全脊髄腫瘍の25~50%を占め,中高年に発生することが多く性差はない.神経根より発生する良性腫瘍で約90%が後根由来とされている.神経線維腫も神経根から発生するが,画像診断で神経鞘腫と鑑別することは困難である.病理学的に主にSchwann細胞から構成されれば神経鞘腫,Schwann細胞以外に神経周膜細胞や線維芽細胞を含む場合は神経線維腫と診断される.腫瘍が多発性に存在する場合には神経線維腫症1型(von Recklinghausen病),神経線維腫症2型,神経鞘腫症などの遺伝性腫瘍を疑う.まれではあるが,悪性腫瘍に分類される悪性末梢神経鞘腫も存在する.髄膜腫は全脊髄腫瘍の25~46%を占め,くも膜細胞から発生する良性腫瘍で中高年の女性,胸椎レベルに好発する.15種類の組織亜型が存在し,石灰化を伴うことが多いpsammomatous型,meningothelial型が大半を占めるが,周囲の組織に浸潤し再発の可能性が高いものも存在する.
【臨床症状または病期】
初発症状としては疼痛や感覚異常が多い.夜間就寝時の疼痛や臥位での疼痛は脊髄腫瘍に特徴的な症状と言われている.腫瘍の増大により神経根や脊髄が圧迫されると根症状,脊髄症状が出現する.
問診で聞くべきこと
いつから,どの部位から,どのような症状が出現し,どのように広がってきたのかを