診療支援
治療

先天性脊柱側弯症
Congenital scoliosis
伊東 学
(国立病院機構北海道医療センター 統括診療部長〔札幌市西区〕)

【疾患概念】

 本疾患は,先天的な椎骨や肋骨の形態異常により生じる側弯症であり,他の生下時からの脊柱側弯症で椎骨奇形がないものとは区別される.発生頻度は0.1%程度である.点状軟骨異形成症のように,本疾患との鑑別が難しい骨系統疾患があるので注意が必要である.また,二分脊椎のように神経管が開いたままになっている脊椎破裂は,別の病態に分類されている.

【病態】

 単純X線画像の所見から,①形成異常,②分節異常,③混合型の3つの病態に分類される.なかでも形成異常が最も頻度が高く,半椎,蝶形椎,楔状椎が代表的な形態異常である.近年CT画像の進歩により,奇形椎の3次元的な形態異常(図18-5)が明らかとなり,椎骨の前方要素と後方要素の形態の相違や,頭尾側方向に分節的ずれがある奇形があることが明らかとなった.最も変形が進行しやすい奇形は,unilateral unsegmented barと半椎が混合した奇形である.肋骨奇形が合併する場合は変形が進行する場合が多く,幼少期から高度の肋骨奇形のあるものは胸郭不全症候群に陥り,呼吸不全を起こし死亡する場合もある.変形が高度になると神経障害が出現することがある.


問診で聞くべきこと

 母親の妊娠早期における健康障害や服薬状況について聴取する.また,子供の成長過程での障害や,他の専門医の治療を受けている疾患があるかについて確認する.鎖肛,食道閉鎖,腎欠損,橈骨異常,心血管異常,四肢異常が合併することがあるので,保護者に確認する.


必要な検査とその所見

 脊椎の単純X線画像で脊椎の形態異常を評価する.生下時には軟骨成分が多く,正確な奇形形態を評価することは難しい.自力で立位がとれる児童には,立位での全脊柱X線画像2方向を撮影する.奇形が見つかった場合,その部位を中心にしたスポット撮影を行う.椎骨の3次元的形態異常の評価には,3次元CTが必須である.小児への放

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