【疾患の概念】
Marfan症候群とは,全身の結合組織に異常を生じる常染色体優性遺伝性疾患であり,フィブリリン遺伝子(15q21)の変異が原因とされる.本症候群は主として骨格系,眼球,心血管系の異常を呈し,1896年にフランスの小児科医であるアントワーヌ・マルファン博士により初めての報告がなされている.
本症候群は一般的には精神発達遅延はなく,小児期には関節弛緩による過度運動性(hypermobility)が認められることが多い.整形外科的に最も問題となる変形は脊柱側弯症であり,側弯のカーブは比較的硬い.
【発生頻度】
Marfan症候群の発生頻度は人口110万人に対して4~6人とされているが,実際にはMarfanoidと呼ばれる不全型が多く存在しており,正確な発生頻度は不明である.遺伝形式は常染色体優性であるが,そのうち約25%は家族歴のない散発性とされる.本症候群に側弯症の合併する頻度は