【疾患概念】
外傷,腫瘍,変性疾患などで脊椎の椎弓切除術を受けた後,脊柱後方支持組織の強度が低下する.それに伴い脊椎の生理的弯曲が変化し,その結果局所に高度の後弯変形をきたすことがある.小児においては,後方支持組織の問題だけではなく,椎体前方の成長軟骨板にかかるストレスが増加し,成長が抑制されることも変形の原因とされる.
【頻度】
小児においては,約半数以上と高頻度に起こるが,成人ではまれである.しかし,成人でも頚椎においては,術前のcervical-sagittal vertical axisやT1-tiltが高値な場合の椎弓切除,もしくは椎弓形成後,また軸椎の椎弓切除後に後弯が進行することがある.また胸椎においても,胸椎後縦靱帯骨化症に対し広範囲に椎弓切除をした場合は,発生頻度が高くなる.
【臨床症状および病態】
症状は,後弯変形と同部の疼痛であり,頚椎の高度後弯化では,脊髄症状の悪化をきたすことがある.一般的な好発部位は頚椎と胸椎で,腰椎の発生頻度は低い.
問診で聞くべきこと
脊髄腫瘍摘出術や脊椎カリエスなどの脊椎疾患の手術歴,症状の出現時期と変形の経時的変化を聴取して,進行速度を確認する.小児においては身長の変化も重要である.
必要な検査とその所見
全脊柱を含めるX線側面像で,後弯の部位と形状を調べる.変形の頂椎部では,屈曲・伸展(可能ならばfulcrum backward bendingを行う)の動態撮影で,変形の可撓性を確認する.CTでは,変形部を含める椎間関節の骨癒合の有無を確認し,MRIでは脊髄腫瘍などの原疾患や,脊髄の圧迫の程度や脊髄萎縮の有無を確認する.
鑑別で想起すべき疾患
Larsen症候群などの先天性の頚椎後弯症や,Marfan症候群,Scheuermann病,神経線維腫症,脊椎脊髄に対する放射線治療後などによる変形との鑑別が必要である.
診断のポイント
椎弓
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