【疾患概念】
若年者における脊椎外傷は,交通事故や転落などの高エネルギー外傷で発生し,多発外傷の一部である場合も少なくない.脱臼骨折や破裂骨折を呈して,脊髄損傷を伴うことも問題点である.したがって,受傷直後から骨折部の変形,不安定性,そして神経障害があり,手術を要する.一方,高齢者では,骨粗鬆症を基盤とした椎体骨折が多く,転倒などの軽微な外傷が原因となる.また,受傷機転が明確でない場合も多い.骨粗鬆症性椎体骨折は,椎体の圧壊が進行して,変形治癒するため後弯変形の原因となる.一度椎体骨折が発生すると,他の椎体にも骨折が発生する危険性が高まり,さらに後弯変形が進行する.また,椎体骨折は,骨癒合が得られず偽関節になると,徐々に後弯変形が進行し,それとともに,後壁損傷による遅発性の神経障害が発生する.このように,高齢者では,脊椎外傷後に脊柱変形が進行する危険性が高い.本稿では,椎体骨折と椎体骨折偽