【疾患概念】
一般的にいわれる頚椎症は2種類あり,中枢神経である頚髄圧迫による頚椎症性脊髄症と,その枝である末梢神経すなわち頚神経根圧迫による頚椎症性神経根症がある.その原因は頚椎椎間板ヘルニアや骨棘による頚神経根の圧迫であり,外傷が契機で発症することもあれば,内因性のことも多く,どちらが多いかは一概には言えない.おもに,第5/6頚椎レベル,次に第6/7頚椎レベル,最後に第4/5頚椎レベルでの神経根圧迫が多い.
【臨床症状】
一言で言うと,長引くひどい寝違えである.特徴的な症状としては,急激発症,片側頚部痛,片側の上肢や肩甲骨付近への放散痛である.麻痺症状を起こすことは多くない.
問診で聞くべきこと
頚神経根の圧迫により上を向くことが困難になる.患者さんからよく聞く訴えは,高い所に置いてある物がとれない,シャンプーができない,ひげそりができない,うがいや歯磨きができない,洗濯物を干せないなどである.そのため,問診では上記のことを聴取して欲しい.あと急激発症か,片側症状か,片側肩甲骨付近への放散痛があるかどうかも診断のポイントとなる.
必要な検査とその所見
問診や,一通りの神経所見だけではなく,Jacksonテスト,Spurlingテストの陽性か陰性は必ずチェックしておくべき所見である.
画像診断ではX線6方向(2方向だけでは不十分),頚椎CTで骨棘の有無,頚椎MRI〔T1,T2強調像の水平断・矢状断,Short T1 Inversion Recovery撮影(STIR)矢状断〕で神経圧迫の有無をチェックする.
※外傷の場合は,MRI撮影でSTIR矢状断を入れておくと受傷時に外傷が契機で症状が起こっているかどうかがの判断がつきやすくなる.外傷が契機になっている場合は,STIR矢状断で後頚筋群や椎体もしくは椎体前縁が高信号となり血腫を疑わせる所見をみることが多い.
鑑別診断で想起すべき疾
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