【疾患概念】
CLFCは頚椎の椎弓を支持し,頚椎脊柱管の後方要素である黄色靱帯が石灰化する疾患である.臨床像,画像所見(図19-17a,a',b,b'図),病理組織学的(図19-17c,c'図)特徴から黄色靱帯骨化症と区別して扱われるようになった.CLFCの組織学的検討では,異所性石灰化と異栄養性石灰化の両側面を有しており,黄色靱帯内の島状の石灰化のなかにハイドロキシアパタイトやピロリン酸カルシウムの沈着を認める.これらの結晶の周辺に炎症所見を示すことが多い.軟骨細胞,造骨細胞や骨誘導因子の発現はみられない.この点が後縦靱帯骨化とは別の病態として扱われている由縁である.CLFCの成因は詳しくはわかっていない.微細な靱帯への機械的刺激を修復するための炎症性変化,代謝性因子の関与が指摘されている.
【臨床症状】
人種別には黄色人種に多い.60~70歳台を中心に高年齢層でみられている.発生頻度は,全脊椎脊髄疾患のうち0.9~1.8%といわれている.発生部位はC4/5,5/6に多いが,時にC3/4,6/7にもみられる.多くの例で慢性的に進行するが,運動や軽微な頚部外傷などを契機に急性に発症し,数週間のうちに重篤な四肢麻痺に陥ることもある.頚部痛,四肢のしびれ感で始まり,手指の巧緻運度障害,歩行障害,膀胱直腸障害へと進行する.他覚所見は,四肢の筋力低下,腱反射異常(上肢で低下,下肢で亢進),知覚障害を呈する.
必要な検査とその所見
①単純X線検査で診断できることもあるが,石灰化が小さい場合では判別できない.ダイナミック撮影を行って頚椎の不安定性の有無を検索する.
②CT scan(図19-17a,a'図):石灰化病巣の確認に必須である.2~3mm幅のスライスのCT scanにおいて,脊柱管内の椎弓に接して砂粒状・卵円形をした高吸収域を示す占拠性病変を確認することができる(図19-17a,a'
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