【疾患概念】
黄色靱帯骨化症(OLF)は,隣接する椎弓間に存在する黄色靱帯が骨化し,脊髄および神経根を圧迫することにより脊髄症や神経根症をきたす,厚生労働省の特定疾患治療研究事業の対象疾病の1つである.
「脊柱靱帯骨化症診療ガイドライン2019」によれば,わが国での胸椎OLFの有病率は,CTによる調査では12~60%である.加齢とともに有病率が上昇するとされるが,30歳代以下の若年者にも発症することもある.若年のアスリートにも認められることが,特徴の1つである.
胸椎OLFの好発レベルは上位胸椎(T3~5)と下位胸椎(T10~12)とである.OLFは頚椎および腰椎に発生することは比較的少ない.性差に関しては,現時点では一定した見解はない.OLFの成因はいまだ解明されていないが,OLF発症には機械的因子や遺伝的要因の関与が示唆されている.また,OLF発生に関連する疾患として糖尿病や筋緊張性ジストロフィーなどが報告されている.OLFの発症と増大に関連する食生活については報告がなく不明である.
胸椎OLFには,同高位の椎間板ヘルニアや後縦靱帯骨化症(ossification of posterior longitudinal ligament;OPLL),頚椎・腰椎OPLL,びまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis;DISH)など高率に他の脊椎疾患が併存しているため,胸椎のみならず全脊柱の評価が重要である.CT水平断像での骨化形態により,外側型,拡大型,肥厚型,癒合型,膨隆型などに分類される.椎弓の谷に骨軟骨腫様の形態を呈するキノコ状の骨化(中心型)も存在する(図20-6a図).
【臨床症状】
脊髄あるいは馬尾圧迫による歩行障害,下肢の運動・感覚障害,腰背部痛,下肢痛などが主な症状であるが,いずれもOLFに特異的な症状
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