診療支援
治療

内視鏡下椎間板切除術
Microendoscopic discectomy
眞鍋 裕昭
(徳島大学 助教)

【概説】

 手術手技の低侵襲化はすべての外科医にとっての課題であり,脊椎外科領域においても低侵襲化が叫ばれて久しい.昨今,内視鏡手術は光学機械や周辺機器の発達により,世界規模で普及しているが,椎間板切除に対する手技に発展がみられたのは1990年代後半であり,他分野に比べると比較的最近のことである.インターネットの普及により,患者側の得られる情報も増えてきていることから,今後も内視鏡手術のニーズは増えてくると思われる.


1.種類

 椎間板切除に用いられる内視鏡手術は大きく分けて2種類あり,従来の手術を内視鏡を用いることで低侵襲化を可能とした(1)後方内視鏡下椎間板摘出術(microendoscopic discectomy;MED法)と経皮的にアプローチすることでより低侵襲となった(2)全内視鏡下椎間板摘出術である.後者はさらにアプローチの違いにより①interlaminar approach,②posterolateral approach,③transforaminal approachに分けられる.特に②,③は局所麻酔下に行うことができるため,全身状態が不良な高齢者にも施行可能である.しかし,これらのすべては異なるアプローチ,手技にもかかわらず,保険診療報酬上では内視鏡下後方椎間板ヘルニア摘出(切除)術(K134-2,2)に一括されており,区別されていない.


2.対象疾患

 上記の手術を適切に選択することにより,従来手術で行うヘルニアに対してはすべて対応可能である.特に全内視鏡手術に関しては,ヘルニアのみならず椎間孔狭窄や外側陥凹の除圧に対しても適応を拡大している.それぞれの手技について特性を十分に理解したうえで,適応を決める必要があるが,患者因子のみならず,執刀医の技量によっても適応は変わる.


3.利点

 患者への低侵襲,創部痛の軽減,組織癒着の減少,入院期間の短縮,早期の社会復帰

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