【概説】
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症,すべり症などに対して手術加療を行ったにもかかわらず,症状が残存もしくは悪化することがあり,それらは腰椎術後疼痛症候群(failed back syndrome;FBS)と呼ばれる.FBSには再発例も含まれるが,症状の種類や罹患期間などは明確に定義されてはいない.頻度は報告によりばらつきがあるが,約10%前後とされている.また,FBSに対して再手術を行うことで,腰椎多数回手術例(multiply operated back;MOB)へ移行していく.一般的にMOBは,初回手術に比べ術後成績は劣るとされている.さらに,FBSは整形外科の疾患,例えば変形性関節症や関節リウマチなどと比較して疼痛のレベルは高く,より強いQOLや身体機能の低下をきたすといわれている.
【病態】
FBSの病態は複雑であり,多くの要因が関連している.予測因子としては,術前因子,