【疾患概念】
椎体辺縁部(隅角)が椎体から分離した状態であり,分離部には椎間板組織が入り込む.
【臨床症状・病態】
発育期には,椎体終板は力学的に脆弱な成長軟骨層を有している.環状骨端核は,単純X線上10~12歳頃に椎体隅角部に出現するが,この環状骨端核が椎体と癒合し,成長軟骨層が消失するまでの期間,つまり終板が力学的に脆弱な若年期に,椎体辺縁分離は発症することが多い.発育期におけるスポーツ活動などの外力が誘因となる.無症状のものが多いが,腰痛や神経根症状を呈することもある.また,発育期には無症状であっても,成人になってから椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄を伴い発症することもある.
問診で聞くべきこと
発症の時期,スポーツ活動の種目や練習量について聞く.腰痛の程度,下肢の痛みやしびれの部位,疼痛増悪動作,筋力低下や膀胱直腸障害の有無について聞く.
必要な検査とその所見
単純X線側面像での診断が一般的である.椎体辺縁から分離した,島状の骨陰影がみられる.腸骨稜や椎弓根が重なって単純X線像では確認しづらい場合は,CT矢状断像や横断像が有用である(図21-15図).下肢神経症状を伴う場合はMRIを撮像する.
鑑別診断で想起すべき疾患
腰椎椎間板ヘルニアと診断している症例のなかに椎体辺縁分離を伴っている症例がある.特に手術を行う際には注意が必要である.
診断のポイント
椎体辺縁分離の診断は画像診断から容易である.しかし,無症候性の場合も多いので,腰痛や下肢痛を呈する他の疾患が潜んでいないか,注意が必要である.
治療方針
安静,薬物療法,理学療法,コルセットの使用などの保存治療が原則である.下肢神経症状を伴い,保存療法が無効な症例は手術適応となる.
手術では,部分椎弓切除を行い,分離骨片を切除し,神経根の圧迫を解除する.長年無症状で経過しながら,青壮年期になって椎間板ヘルニアを発症した症例のなかに,陳
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