診療支援
治療

化膿性腸腰筋炎
Iliopsoas pyomyositis
永島 英樹
(鳥取大学 教授)

【疾患概念】

 大腰筋と腸骨筋とを合わせて腸腰筋とよぶ.前者は第12胸椎から第5腰椎の横突起基部,椎体側面,椎間板から,後者は腸骨窩の上方部分から起始し,ともに大腿骨小転子に停止する.この筋に感染が及んだものが化膿性腸腰筋炎である.

【病型・分類】

 化膿性腸腰筋炎は,原発性と続発性に分けられる.原発性は血行性に菌が運ばれて発症し,続発性は隣接臓器の感染(脊椎炎,胃腸穿孔など)から菌が直接侵入して発症する.

【臨床症状】

 感染で通常みられる発熱や疼痛などを訴える.患側の股関節が屈曲位をとっており,他動的に伸展や内旋させると疼痛が誘発されるのが特徴である(psoas sign).


必要な検査とその所見

(1)血液検査

 白血球数の増加,核の左方移動,CRPやプロカルシトニンの高値がみられる.

(2)画像検査

 腹部または腰椎のX線正面写真で,大腰筋陰影が腫大していることがある.しかし,軽度の場合にはこの判別が

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?