【疾患概念】
仙腸関節は,関節周囲を強固な靱帯で結合されているため可動性に乏しいが,数度程度のわずかな可動性を有する.骨盤輪に何らかの動作による負荷が繰り返されることで,仙骨と腸骨間の後仙腸靱帯やその付着部に負荷が加わり,微細損傷を起こし,炎症を惹起し,その修復過程で神経組織が侵入することで疼痛を生じると考えられる.また後仙腸靱帯のみならず,仙骨と腸骨を連結する靱帯やその付着部に疼痛を伴うため,骨盤輪不安定症による靱帯付着部障害ととらえると病態を理解しやすい.
【頻度】
わが国の報告では一般整形外科外来を受診した,いわゆる非特異的腰痛患者の疼痛原因の6%程度を占めるとされる.
【病型・分類】
前屈動作によって疼痛を生じるニューテーションタイプ,伸展動作によって疼痛を生じるカウンターニューテーションタイプ,どちらでも痛む不安定型に分けられ,各々の病態によって後述するリハビリテーションの方法が異な