診療支援
治療

骨盤輪骨折,仙腸関節脱臼
Pelvic ring fracture, Sacroiliac joint dislocation
伊藤 雅之
(福島県立医科大学 教授(外傷再建学講座))

【疾患概念】

 骨盤輪は,恥骨で構成される前方要素と,仙骨や仙腸関節で構成される後方要素に分けられる.骨盤輪骨折や仙腸関節脱臼は,交通事故や墜落など高エネルギー外傷に伴う致命的な外傷であり,整形外科が病院搬送直後からかかわるべき,整形外科緊急症である.高エネルギー外傷のために,多部位の損傷を合併し,内臓器損傷を伴うことも多いため,他科と協力して治療戦略を立てる必要がある.一方,近年の高齢化に伴い,転倒などの低エネルギー外傷で受傷する,脆弱性骨盤輪骨折が増えてきている.転位が小さく,急性期に致命的となることは少ないものの,診断が難しく骨代謝が悪いために治療に難渋することがある.ここでは,骨盤輪骨折と脆弱性骨盤輪骨折を分けて解説する.

【分類】

 重症度は,骨盤の後方構成体の破綻度合いによって決定される.Young-Burgess分類は,受傷機転によって,受傷側の腸骨部が内旋し骨盤容積が減じる側方圧

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?