【疾患概念】
骨盤の輪状構造を形成している靱帯結合のうち,前方の恥骨結合の線維軟骨が破綻して離開が生じる.多くの場合骨盤の前後方向から外力が加わり,左右の寛骨の片側または両側が外旋方向へ転位する(open book injury).外力が大きいと後方の仙腸関節の靱帯損傷を伴っていることもある.まれに側方からの外力により,恥骨結合部が破綻して恥骨同士が重なり合うように転位することもある(locked symphysis).
【臨床症状】
恥骨結合部の痛みを訴える.後方仙腸関節まで損傷が至ると腰背部痛が主訴となる.寛骨の外旋が大きいと,患側下肢が外旋位となる.外陰部や会陰部に皮下血腫を認めることもある.
必要な検査とその所見
(1)X線写真(図22-1a図)
恥骨結合間の距離は正常で0.5cm前後であり,1cm以上間隔が広がっている場合は確定診断となる.
(2)CTスキャン
恥骨結合離開の正確な計測や