【疾患概念】
主として高齢女性の片側股関節に発生し,数か月の経過で大腿骨頭の消失と寛骨臼の破壊に至る疾患である.
【病態・臨床症状,発症機序,好発年齢】
原因は不明であるが,大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折が契機となる症例や,骨盤後傾が多いことなどが報告されている.形態的にはおおむね正常であった股関節に,小外傷や骨盤傾斜による応力集中などが加わることで発症し,骨脆弱性を背景に修復反応が乏しいまま高度の骨吸収が進み,急速に骨軟骨破壊が進行する疾患と考えられる.股関節痛は高度であるが,高度関節破壊の結果,関節切除術後に類似の状態となることで疼痛が軽減することもある.関節破壊の程度に応じて脚短縮を生じる.関節可動域制限は目立たない.
問診で聞くべきこと
軽微なものも含めた外傷歴の有無を聴取する.初診時にすでに高度破壊を認める場合は,問診で急速な経過を推定する.
必要な検査とその所見
(1)単純X線検査(図23-7図)
進行性の股関節破壊が認められることが診断の必要条件である.進行に伴い大腿骨頭は消失し,寛骨臼も荷重部を中心に破壊される.寛骨臼縁が破壊されると亜脱臼位を呈する.骨棘などの骨形成反応はみられない.破壊が急速なあまり破骨細胞による吸収が追いつかずに,関節内に残された破砕骨片の滞積像が,単純X線やCTで認められることもある.
(2)MRI
特異的所見はないが,他疾患との鑑別に必要である.
(3)CT
術前検査として,破壊された関節の形態を三次元的に把握するために必要である.
(4)血液検査
特徴的な所見はないが,他疾患との鑑別に必要である.CRP上昇はあっても軽度である.
その他の検査として,関節液検査(細菌培養,結晶の鏡検,細胞診),術中組織の培養検査や病理組織検査が他疾患との鑑別目的など必要に応じて行われる.
鑑別診断で想起すべき疾患
骨破壊をきたしうる種々の疾患を鑑別する必要がある.転移性
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