診療支援
治療

変形性股関節症
Osteoarthritis of the hip
中島 康晴
(九州大学大学院 教授)

【疾患概念】

 変形性股関節症(股関節症)とは,関節軟骨の変性や摩耗により関節の変形が生じ,反応性の骨増殖(骨棘など)を特徴とする疾患である.股関節の変性・変形により同部の疼痛と可動域制限,歩行障害を呈する.

 原疾患が明らかではない一次性股関節症と,何らかの疾患に続発する二次性股関節症に分類される.わが国では,一次性の頻度は少ないものの,最近では屈曲時の臼蓋と大腿骨頚部の衝突現象であるfemoroacetabular impingementが,一次性股関節症の原因の1つとして注目されている.多くを占める二次性は,Perthes病,大腿骨頭すべり症,化膿性股関節炎などの小児期の股関節疾患,あるいは股関節脱臼や骨折などの外傷後の長期経過後に発症するものである.そのなかでも乳児期の股関節脱臼・亜脱臼(発育性股関節形成不全)や寛骨臼(臼蓋)形成不全に伴う股関節症が最も多く,股関節症全体の80%を占め

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