【疾患概念】
交通事故や労災事故などの高エネルギー損傷により,外傷性股関節脱臼が生じる.大腿骨頭の血行は,内側大腿回旋動脈の分枝である外側骨端動脈(lateral epiphyseal artery)であり,阻血を生じやすい.本外傷は,大腿骨頭骨折あるいは寛骨臼縁骨折を伴うことがある.大腿骨頭壊死の発生率を低下させるために,早期の脱臼整復が必要である.
【病型・分類】
後方脱臼が外傷性股関節脱臼の90%を占め,股関節屈曲位で長軸方向に外力が作用して発生する.いわゆるダッシュボード損傷である.大腿骨頭骨折は後方脱臼の6~7%に合併する.前方脱臼は本骨折の10%を占め,そのうち恥骨脱臼は股関節の外転・外旋・伸展により生じ,閉鎖孔脱臼は股関節の外転・外旋・屈曲により生じる.
問診で聞くべきこと
受傷原因,受傷からの経過時間,疼痛部位を聴く.
必要な検査
外傷性股関節脱臼は,単純X線の正面像・軸斜像で診