診療支援
治療

脚長不等
Limb length discrepancy
西須 孝
(千葉こどもとおとなの整形外科 院長〔千葉市緑区〕)

【疾患概念】

 先天性または後天性に脚長差が生じた病態で,長い下肢が異常である場合と,短い下肢が異常である場合と,両下肢が異常である場合とさまざまである.原因としては,片側肥大症(Klippel-Trenaunay-Weber症候群,Silver-Russell症候群,Proteus症候群などを含む),片側萎縮症(先天性内反足や麻痺性疾患によるものを含む),先天性下肢形成不全(先天性脛骨欠損症,腓骨列形成不全,大腿骨形成不全など),骨折後の過成長・骨端線早期閉鎖,骨髄炎後の骨端線早期閉鎖,成長軟骨板を含む腫瘍による成長障害,悪性腫瘍に対する放射線治療後の骨端線早期閉鎖,Perthes病,大腿骨頭すべり症,発育性股関節形成不全に伴うPerthes病様変形,プロテインC・S欠乏症に伴う骨端線早期閉鎖などさまざまである.

【臨床症状】

(1)歩容の問題

 歩行時に下肢が短いほうを接地したときに骨盤傾斜が生じて,半身が落下するように下がる墜落性跛行が典型的であるが,これを代償するために短いほうをつま先立ちして歩く場合もある.これが長期にわたって続くと尖足拘縮が生じる.

(2)脊柱側弯の問題

 立位をとったときに骨盤が傾斜するため,機能性側弯が生じる.この時点では足底板などにより脚長補正をすれば側弯は解消するが,学童期以降長期にわたり機能性側弯が続くと“曲がり癖”がついて,脚長補正しても側弯が解消されない状態となり,構築性側弯となる場合がある.


問診で聞くべきこと

 骨折,骨髄炎(不明熱も含めて),先天性股関節脱臼などの既往歴,多発性骨腫瘍(多発性外骨腫,メタコンドロマトーシス,Ollier病など)の家族歴は診断の参考になるので,問診しておく.


必要な検査とその所見

 両下肢立位全長の単純X線検査は,診断に最も有用である.側弯症の評価のため,全脊椎の単純X線検査を立位と座位で行って,機能性側弯と構築性側

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