診療支援
治療

大腿骨転子下骨折
Femoral subtrochanteric fracture
塩田 直史
(岡山医療センター 医長(整形外科・リハビリテーション科)〔岡山市北区〕)

【疾患概念】

 大腿骨転子下骨折は,小転子下縁から3cmもしくは5cm遠位の間に発生すると定義される.内側皮質には大きな圧迫力が,外側には張力がかかり,生体力学的に大きな負荷がかかる部位である.

【病態】

 若年者では高エネルギー外傷,高齢者では骨脆弱性に伴う低エネルギーでの骨折が生じる.近年では非定型骨折も散見され,骨癒合が得られにくい.また転移性骨腫瘍の好発部位でもある.

 いったん骨折が発生すると,周囲の強大な筋に牽引され,大きな転位をきたすことも特徴である.近位骨片は腸腰筋・小中殿筋・短外旋筋群の作用により屈曲・外転・外旋する.遠位骨片は内転筋の作用により内転・短縮転位する(図25-1).

【病型・分類】

 わが国ではSeinsheimer分類が用いられることが多い.骨片の数と部位・骨折線の方向により分類している.また,世界的にはAO/OTA分類が一般的である.


問診で聞くべきこと

 受傷原因(

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら