【疾患概念】
大腿骨骨折は,大きな外力か,極端な骨脆弱性が原因となるので,乳幼児においては虐待や骨脆弱性をもたらす基礎疾患の可能性を念頭に置いて診断を進める.一方,明らかな高エネルギー外傷が原因のときは,成長軟骨板の損傷の可能性を考慮して治療を行う.
【臨床症状】
一般に激痛と腫脹を主訴とし,体動困難となって救急受診するが,二分脊椎症などの麻痺性疾患や先天性無痛無汗症では激痛はなく,腫脹と発熱だけがみられる.
問診で聞くべきこと
基礎疾患の存在や過去の骨折歴を知るため,既往歴を確認した後に,受傷機転について詳細な問診を行う.この際,受傷時に誰が一緒にいたかについても問診しておく.少しでも不自然な点があれば虐待の可能性を考え,院内の専門委員会に調査を委ねる.高所転落事故の場合も,第三者による放り投げの可能性を考慮する.
必要な検査とその所見
交通事故などで受傷機転が明白な場合は局所のX線検査で十分