診療支援
治療

非定型大腿骨骨折
Atypical femoral fracture
宮腰 尚久
(秋田大学大学院 准教授)

【疾患概念】

 非定型大腿骨骨折は,大腿骨転子下から骨幹部に発生する横骨折であり,転倒などの軽微な外力で生じ,誘因となる外傷がないことも多い.本骨折は,骨粗鬆症に対してビスホスホネート薬を長期間使用した例に生じやすく,治療に難渋する例が多いことから,その主因は,骨代謝回転の極度な抑制であると考えられてきた.しかし,近年の研究により,骨代謝回転は必ずしも抑制されていないことが明らかとなった.

 ビスホスホネート薬以外にも,ステロイド薬,デノスマブ,プロトンポンプ阻害薬などが本骨折に関与すると考えられるが,これらを裏付ける質の高い研究は少ない.また,骨幹部に生じる本骨折には,大腿骨の弯曲が大きな例が多い.

【頻度】

 発生率は,人口10万人・年あたり3.2~50例と推定される.

【病型・分類】

 完全骨折と不完全骨折に分類され,骨折部位により転子下骨折と骨幹部骨折に分けられる.


問診で聞くべきこと

 骨折が

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?