膝関節周辺の痛みを訴える患者を診察する場合,一般的には痛みの局在と膝関節の解剖を照らし合わせて想定される疾患を念頭に検査を進めるとよい.また,痛みを正確に捉えるためには,局在以外にも,強度や質,時間的変化なども評価することが重要である.
1.診断手順
【1】病歴聴取
膝のどこが,いつから,どのように痛むのか,詳しく聴取する.また,外傷やオーバーユースなどの発症誘因,運動や食生活などの生活習慣,家族構成や職業などの社会的背景,既往歴や併存症などの情報も重要である.さらに,膝関節の不安定感や膝くずれ(giving way),ロッキングなどの痛み以外の症状も聴取しておく.これらの情報は初診時を逃すと得られないことが多く,時間はかかるが初診時に丁寧に聴取することが望まれる.問診表にこれらの情報に関する質問を盛り込んでおくと外来診療が効率的になる.
【2】身体所見
(1)歩容を観察し跛行がないかどうか確認