診療支援
治療

脛骨顆間隆起骨折
Fracture of the tibial intercondylar eminence
石橋 恭之
(弘前大学大学院 教授)

【疾患概念】

 膝前十字靱帯(anterior cruciate ligament;ACL)付着部の裂離骨折であり,骨端線未閉鎖の小児期に特徴的な外傷の1つであるが(child type),骨端線が閉鎖した成人にも生じる(adult type).ACL損傷と同様の受傷機転で生じ,半月板損傷などを合併する.裂離骨折を見逃したり骨片整復が不良であったりすると,不安定性が残存し内側半月板の二次的損傷をきたす.正確な整復固定が必要である.

【診断・分類】

 膝を捻ったという受傷機転に加え,関節内血腫,またLachman testなどで前方安定性の有無を確認する.また半月板損傷や内側側副靱帯損傷など合併損傷がないかどうか確認する.画像の第1選択は単純X線であり,通常,側面像で骨片が確認できることが多い(Meyers分類,図26-10).


診断のポイント

 骨片が小さい場合や若年者で裂離骨片に骨性成分をほとんど含まない場合(cartilaginous type)には,単純X線では見逃されることがあり,補助診断としてCTやMRIが有用である.


必要な検査とその所見

 CTでは骨片の粉砕の程度やcartilaginous typeの裂離骨折が描出できる.MRIではACL実質部損傷のほか,半月板損傷など合併損傷の有無,また骨端線(成熟度)が評価できる.単純X線で脛骨顆間隆起骨折の診断が得られると,MRIが撮られないこともあるが,合併損傷の有無の確認など治療方針の決定には必須である.


治療

 骨片の転位の少ないMeyers分類typeⅠや膝伸展位で骨片整復が可能なtypeⅡではギプスなど保存治療の適応とされている.整復困難なtypeⅡ,また転位のあるtypeⅢ/Ⅳに対しては手術適応であるが,整復位の得られたtypeⅡであっても保存治療の成績はあまり好ましくないことからtypeⅡ以降はすべて手術適応とする報告も

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