【疾患概念】
膝側副靱帯損傷は大きく内側側副靱帯(medial collateral ligament;MCL)損傷と,外側側副靱帯(lateral collateral ligament;LCL)および後外側支持機構(posterolateral corner;PLC)損傷に大別される.両者ともに新鮮単独損傷例や部分損傷例,大きな愁訴を伴わない陳旧例については一般的に保存療法が選択され,良好な経過をたどることが多い.一方で愁訴を有する陳旧性靱帯損傷や複合靱帯損傷に伴う損傷に対しては手術的治療が選択され,近年の鏡視下手術の進歩,個々の靱帯の解剖学的理解やバイオメカニクス研究の積み重ねによる再建術の治療成績の向上に伴い,積極的な手術的治療の選択により良好な成績が得られるようになってきている.本項では最初に頻度の圧倒的に多いMCL損傷について詳細を述べ,その後LCLおよびPLC損傷について概説