【疾患概念】
1903年にRobert B. OsgoodとCarl B. Schlatterが報告した脛骨粗面部に生じる骨端症の1つである.成長期に膝前方部痛を訴える代表的な疾患である.
【頻度】
発生率は10~20%程度で,成長期のスポーツ選手(男児では10~12歳,女児では8~10歳)に発生し,約30%は両側発症である.
【病態】
脛骨粗面部では男児で10~11歳ごろに,女児では8~9歳ごろに骨化核が出現し(apophyseal stage),骨化核が脛骨近位骨端と癒合(epiphyseal stage)し,男児では18歳ごろに,女子では16歳ごろに癒合が完成する(bony stage).この間,脛骨粗面部は力学的に脆弱な状態にある.そこに①身長が伸びることによる大腿四頭筋のタイトネスの増大,②スポーツ活動による繰り返しの負荷,③大腿四頭筋筋力の増大などが加わり発症に至る.脛骨粗面部の部分的な裂離に加えて膝蓋腱周囲滑液包や膝蓋下脂肪体に炎症を伴うこともある.
【臨床症状】
脛骨粗面部の疼痛を主訴とし,圧痛,腫脹,軽度の熱感を認める.ジャンプの着地やスクワットなど大腿四頭筋遠心性収縮時に強い疼痛を訴える.初期では運動後のみ痛みを感じるが,徐々に運動中にも痛みがみられ,スポーツ活動に支障が出る.日常生活でも階段昇降時や正座時に痛みを訴えることもある.
問診で聞くべきこと
外傷機転の有無,スポーツの種類とポジション,安静時痛の有無,発症からの期間.
必要な検査とその所見
(1)柔軟性の評価
大腿四頭筋,ハムストリングス,下腿三頭筋の柔軟性を評価する.
(2)疼痛誘発テスト
両脚ハーフスクワット,片脚ハーフスクワット,両脚ジャンプ,片脚ジャンプ時の疼痛の有無を確認する.
(3)X線検査
膝関節側面像で脛骨粗面部の骨化核の分節化の有無,裂離骨片の有無を評価するが,病初期の評価はできない(図26
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