【概略】
下腿は,中枢は膝関節に末梢は足部・足関節につながり,立位時には身体を支持し,運動時には膝関節と足部・足関節の動きを相互に伝え調整する役割を担う,重要な運動器の1つである.下腿の前方,外方,後方は機能別に区画された筋群に覆われる一方,内側は脛骨を被覆する軟部組織に乏しいため,特に中央部では骨折や創傷が難治化しやすく,また下腿に起始を有する筋の機能障害は足部・足関節の運動を妨げ,立位,歩行に影響を及ぼすなどの問題を生じやすい.よって,下腿の痛みの病態を正しく診断し,早期に対策を講じることが下肢機能を維持するうえで大切である.
【病態】
下腿の痛みをきたす主な疾患を,病態別に提示する.
(1)外傷性
骨折,打撲,筋挫傷,肉ばなれ,腱断裂.閉鎖性骨折や筋挫傷では,急性下腿コンパートメント症候群の合併に注意が必要である.
(2)オーバーユース性
Osgood-Schlatter病,鵞足炎,疲労骨