診療支援
治療

小児期外反扁平足
Flatfoot in childhood
北野 利夫
(大阪市立総合医療センター小児整形外科 部長〔大阪市都島区〕)

【疾患概念】

 内側縦アーチの減少と後足部外反を伴う小児期外反扁平足は,一般的には経過が良好なflexible flatfoot(FFF)が多くを占めるが,拘縮を伴い非荷重時でも変形を呈する次のような疾患(pathologic FF)とを鑑別する必要がある.すなわち,hypermobile flatfoot with short tendo-Achilles(HFF-STA),足根骨癒合症,ゆがみ足(skewfoot),先天性垂直距骨,多発性関節拘縮症,麻痺性足部変形などであり,これらはFFFと異なり,後に症状が出現する頻度が高い.良性であり多くは成長とともに改善するFFFであっても,全身関節弛緩性,肥満,靴の装用は成人期以降における扁平足遺残の危険因子である.


診断のポイント

 良性のFFFであるか否かを診断する必要がある.身体所見としては,立位時足底接地面積の拡大(縦アーチの消失)と後足部外反を呈する場合に外反扁平足と診断するが,爪先立ちによる縦アーチ形成や立位時他動的母趾背屈による縦アーチ形成がみられた場合,FFFと診断できる.足関節の可動性,特にアキレス腱拘縮有無の確認は重要であり,一見,足関節の可動域が良くても,膝関節伸展位かつ距骨下関節中間位(矯正位)に保持した状態では足関節の背屈ができない場合は,アキレス腱拘縮を伴うHFF-STAと診断する.子宮内での肢位異常によるものであり治療を要しない(先天性)外反踵足と,早期治療が必要な先天性垂直距骨との鑑別も,アキレス腱拘縮の有無や他動的底屈位X線側面像での距舟関節整復の有無が決め手となる.単純X線立位側面像上でのC-signは距踵関節癒合症の,anteater nose signは踵舟関節癒合症の,それぞれ特徴的な所見である.


治療方針と保護者への説明のポイント

 FFFは拘縮を伴わず自然経過が良好であり,多くは3~4歳までに

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