【疾患概念】
感染を除く何らかの要因によって生じた距骨の虚血性骨壊死.距骨は体表の6割が軟骨に覆われ,かつ靱帯を除く筋や腱などの軟部組織の付着もない.このような構造特性が好発する理由である.要因の主たるものは距骨頚部骨折など外傷だが,ステロイド投与やアルコール多飲に起因する特発例の報告も散見される.
【頻度】
特発性を含む全体の罹患率は不明である.一方,外傷を契機とするものは,一般にその程度と発生率が相関し,距骨頚部骨折(Hawkins分類)では,1型で0~10%,2型で20~50%,3型で60%以上の確率をもって無腐性骨壊死を生じることが知られている.
問診で聞くべきこと
足関節捻挫のような軽微な外傷でも生じ得るので留意する.特発性を考慮したステロイド使用歴やアルコール摂取量の聴取も行う.
診断のポイント
発症初期に特異的な症状はなく,本疾患を高率に発症し得る患者では常に念頭に置き,慎重な経過