診療支援
治療

脛骨天蓋骨折
Pilon fracture (Plafond fracture)
衣笠 清人
(近森病院 統括部長〔高知市〕)

【疾患概念】

 足関節は距腿関節とも呼ばれ,内果・外果と脛骨天蓋部および距骨により構成されている.この脛骨天蓋部の骨折を含むものがpilon骨折とかplafond骨折とよばれている.ともにフランス語でpilonはすりこぎ棒,plafondは天井を意味する.

【病型・分類】

 スキーなどで起こる低エネルギー外傷型では,軟部組織のダメージは比較的軽度で転位は少ない.しかし高所からの転落や交通外傷で起こる高エネルギー外傷型では,軸圧損傷としての関節面の粉砕や骨幹端部への陥入が必発で,開放創を伴うこともある.分類としては古くはRuedi分類,最近ではAO Muller分類がCCF(Comprehensive Classification of Fractures)として用いられてきた.2018年にOTAとAO Foundationから,Fracture and Dislocation Classification Compendium─2018として新AO分類が発表された(図28-15).多少の違いはあるが,本骨折に限ればほぼ同じである.


問診で聞くべきこと

 受傷機転をよく聴取して,軟部組織の受けているダメージを評価しなければならない.


必要な検査とその所見

 単純X線撮影では,足関節前後・側面2方向に加えて,健側の同2方向も比較のため撮るべきである.また最近は3D-CTが可能であることが多いので,VRで立体画像を作っておくと手術治療を行う場合非常に有用である.


鑑別診断で想起すべき疾患

 一見,足関節果部骨折にみえる骨折型のなかに,天蓋部の陥入転位を含んだものもあり,注意すべきである.これらはAO分類では44□ではなく,43B2.□である.


診断のポイント

 診断は3D-CTまで撮影していれば容易であるが,大切なのはその後の治療方針を早く決定し,速やかに適切な治療を開始することである.


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