【疾患概念】
軟骨下骨層で分離が生じ,進行すると骨軟骨片が関節内遊離体となる疾患である.外傷歴が明らかでない離断性骨軟骨炎と,外傷歴がある骨軟骨骨折として定義することもあるが,両者を総称して骨軟骨障害とよぶことが一般的である.
【病態】
関節内で繰り返される微小外傷が主因と考えられるが,骨形態異常の関与も指摘されている.
【臨床症状】
安静時痛はまれで,階段昇降時や運動時に痛みを認めることが多い.
問診で聞くべきこと
スポーツ歴と職歴の問診は負荷強度の確認に重要で,骨折や捻挫などの外傷歴も忘れずに確認する.
必要な検査とその所見
単純X線のみでは不十分であるため,CTまたはMRIが必要となる.
診断のポイント
本症は骨と軟骨という異なる組織の複合損傷で,病勢は骨病変の損傷程度に左右されるため,その形態的評価をCT,質的評価をMRIで行う必要がある.
治療方針
保存療法で治癒に至る可能性は低いため,手術療法を要することが多い.
【1】保存療法
スポーツ活動制限,ギプスや半硬性装具による外固定,松葉杖による荷重制限が行われる.
【2】手術療法
元の骨軟骨温存が可能な鏡視下ドリリングまたは内固定術を第1選択とする.10mm未満の病変に行う鏡視下マイクロフラクチャーでは修復組織が線維軟骨であることを,10mm以上の病変に行う自家骨軟骨移植術では膝関節と足関節の軟骨特性の相違に,それぞれ留意する必要がある.また,順行性および逆行性自家海綿骨移植術では,骨病変には正常骨組織置換が,軟骨病変には線維軟骨再生がそれぞれ期待できる.
患者説明のポイント
本症は緩徐に進行することが多いため原因特定が困難なことが多く,負荷軽減により症状は緩和されるものの,画像上での改善が得られにくいという特徴がある.手術のタイミングは慎重に決定する必要があり,痛みの程度,年齢などを考慮して,各術式の利点と欠点を十分に説明する.
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