【疾患概念】
距骨下関節内に骨折が及ぶ関節内骨折(60~75%)と及ばない関節外骨折に大別される.関節内骨折は一般に高所からの落下や交通事故など高度エネルギー外傷によるが,高齢者など骨の脆弱性があれば低エネルギー外傷でも生じる.関節外骨折は捻れや筋の牽引力などにより生じる.関節内骨折は後足部の疼痛や変形などの後遺障害が生じやすいことで知られ,これまで多くの治療法が報告されてきているが,いまだ課題の多い骨折の1つである.合併損傷として腰椎骨折や他の下肢骨折がある.
【頻度】
足根骨骨折のなかで最も頻度の高い骨折であり,全骨折の2%を占め,性別では男性が圧倒的に多い.
【骨折型分類】
関節内骨折では足部側面X線像によるEssex-Lopresti分類(図28-19a図)とCT冠状断像によるSanders分類が,治療法の選択や成績評価の際によく用いられる.関節外骨折には部位別に前方突起骨折,体部骨折