診療支援
治療

舟状骨骨折,立方骨骨折
Navicular fracture, Cuboid fracture
大塚 和孝
(長崎記念病院 部長〔長崎市〕)

【疾患概念】

 足部にかかるさまざまな外力により,舟状骨や立方骨に骨折をきたす外傷であり,時にそれぞれが合併する.

【病型】

 新鮮舟状骨骨折は,背側剥離・結節部・体部骨折の3つに分類できる.舟状骨には疲労骨折も多くみられ,これを加えて4つの骨折型とすると理解しやすい.立方骨骨折は外側遠位の剥離骨折と体部骨折に分かれるが,後者には強い外力により激しい圧潰を伴うnutcracker fracture(胡桃を割るような形態の陥没骨折)が含まれる.

【臨床症状】

 高エネルギー外傷ではLisfranc関節脱臼骨折などの合併損傷を認めることも多く,腫脹が激しい場合はコンパートメント症候群の発症に注意する.


必要な検査とその所見

 足部Ⅹ線背底像,側面像,両斜位像を撮影する.3D-CTやMPR(multi planar reconstruction)が有用で,空間的な転位の程度や方向・骨片の大きさや位置などが把握しやすい(図28-20).


診断のポイント

 低エネルギー外傷による単独損傷では,ていねいな触診と圧痛点の確認が診断の一助となる.


治療方針

 新鮮例で転位がないかわずかなものは保存療法の適応となり,3~5週程度の外固定と免荷でほとんどが治癒する.舟状骨結節部骨折ではさらに1~2週長めの外固定が望ましいが,螺子やKirschner鋼線固定により外固定期間を大幅に短縮できる.転位のある症例では,活動性の低い高齢者の一部を例外として手術療法を選択する.

 骨折や脱臼による大きな転位やLisfranc関節脱臼骨折の合併は,腫脹によるコンパートメント症候群の一因となる.必要とあらば手術のための十分な器材が整っていなくても緊急に整復し,Kirschner鋼線を用いた足部形態の改善を行う準備をしておく.圧潰が激しい場合は骨片どうしの内固定のみでは長さの保持が困難なことがあり,骨移植や創外固定器の併用が必要とな

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