【疾患概念】
Lisfranc関節脱臼骨折は強い直達外力により発生するが,足関節底屈位で軸圧や回旋力が加わった場合に発生しやすい.
Lisfranc関節のkeystoneは第2中足骨である.第2中足骨基部は,内側,中間および外側楔状骨で形成されたほぞ穴にはまり込み,靱帯で結合している.第2中足骨と内側楔状骨はLisfranc靱帯(骨間靱帯),背側,底側靱帯で,また内側楔状骨と中間楔状骨は骨間靱帯で結合されているが,第1,第2中足骨間は靱帯性に結合されていない.そのため,第2中足骨基部と楔状骨間の解剖学的整復が治療のポイントとなる.
【症状】
足部に著しい腫脹と疼痛が生じ,多くの場合Lisfranc関節部で不安定となり,前足部荷重が困難となる.ときに血管損傷を伴い足趾の血行が障害される.
【病型・分類】
骨折型の分類にはMyersonらの分類(図28-21図)が用いられる.total incongruity,partial incongruityおよびdivergentの3つに大別し,前者2つは転位方向で,divergent typeは損傷範囲でそれぞれ2つに分類されている.この分類は損傷部位が比較的明確になっているため,手術方法の選択にも役に立つ分類法である.
必要な検査とその所見
単純X線足部正面像および斜位像でLisfranc関節の適合性を観察する.健側との比較も役立つ.転位がわずかな場合には単純X線像のみでの診断は困難で,その場合にはCTが有用である.CTでは,骨間の離開や転位方向,骨片の存在が評価できる.
診断のポイント
高エネルギー外傷時に足部の腫脹,疼痛を認めた場合,Lisfranc関節脱臼骨折を疑い,画像診断を行う.
治療方針
保存療法は困難であるため,手術療法を基本と考える.初期治療としてはX線透視下に徒手整復を試み,複数のKirschner鋼線で経皮的に固定する.外