診療支援
治療

足関節陳旧性外側靱帯損傷
Chronic lateral ankle instability
橋本 健史
(慶應義塾大学 教授(スポーツ医学))

【疾患概念】

 急性足関節捻挫が慢性化して,頻回に捻挫を繰り返し,疼痛,不安定感を訴えるようになることを足関節陳旧性外側靱帯損傷とよぶ.受傷直後に荷重できないような重度急性足関節捻挫の20~30%が本症となる.その原因は足関節の骨形態,初期治療方法などが言われているが,私は受傷2週以内に10日以上のギプス固定を行えば,本症になることをある程度避けることができると考えている.

【臨床症状】

 日常生活で足関節痛,不安定感を訴える.歩行,走行動作解析を行うと,踵接地直前に足関節が過大な内がえしをして,踵接地直後に過大な外がえしをしている.このため,捻挫を繰り返しやすく,また,足関節軟骨に負担を与え,変形性足関節症の原因となりうる.


問診で聞くべきこと

 重要なのは初回足関節捻挫の時期と受けた治療である.受傷直後に荷重できたか,また,ギプス固定を何日間受けたかを聞く.そして現在,どのような職業についているのか,デスクワークか立ち仕事なのか,階段昇降が多いのか,スポーツを週に何回,何時間行うかについても聞いておく.


必要な検査とその所見

 ①まず,単純X線検査を行って,足関節果部骨折,脛腓間離開の有無を調べる.そして,正面像では,距骨滑車の骨軟骨骨折,距骨外側突起骨折の有無をみる.側面像では,踵骨前方突起骨折の有無を確認する.

 ②次に,徒手足関節ストレス検査を行う.足関節軽度底屈位で前方引き出しテスト,足関節中間位で足関節内反ストレステストを徒手で行い,左右差をみる.その後,ストレスX線検査を行う.特に足関節内反ストレスX線検査がその後の治療方法を決定する重要な情報となる.

 ③次に行うべきなのは超音波検査である.本症では靱帯が肥厚し,fibrillar pattern(長軸方向の高信号の複数の線)が減少して全体が低信号になることが多い.ストレスをかけると明らかな不安定性を確認することができる.必

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