【疾患概念】
遠位脛腓靱帯は主に前下脛腓靱帯と後下脛腓靱帯で構成され,複合的な遠位脛腓関節の動きを許容している.遠位脛腓靱帯損傷の多くは前下脛腓靱帯の損傷であるが,重症例では後下脛腓靱帯も損傷することがある.典型的な受傷肢位は足部外旋,足関節背屈位である.三角靱帯損傷を合併することも多い.腓骨高位骨折(Maisonneuve骨折)を合併することもあるため注意が必要である.
【臨床症状】
前下脛腓靱帯部の腫脹と疼痛を伴う.荷重やしゃがみこみ動作での疼痛を認めることが多い.
問診で聞くべきこと
受傷肢位の確認が重要である.スポーツによる受傷の場合は,種目と受傷時のプレー内容を確認する.
必要な検査とその所見
触診が最も重要である.前下脛腓靱帯は触診が可能で,圧痛点が明確である.外旋テストは座位で膝屈曲位とし,検者が下腿近位を保持し足関節中間位で足部を外旋させる.損傷があれば前下脛腓靱帯部に疼痛を認める.Cottonテストは検者が下腿中央を保持し足部を外方へ移動させる.損傷があれば距骨が外方へ移動し不安定感を認める.Squeezeテストは検者が下腿中央部で脛骨と腓骨を両手で絞るように圧迫を加える.損傷があれば疼痛が誘発される.
画像検査では単純X線像による遠位脛腓関節の評価が行われる.果間関節窩撮影(mortise view)で,足部を20°内旋し撮影することで遠位脛腓関節が描出される.遠位脛腓関節が6mm以上の開大を認めれば損傷を疑う.内果関節面と距骨間の距離(medial clear space)の開大も確認する.CT水平断にて遠位脛腓関節の離開がより明確になる.MRI水平断では遠位脛腓靱帯の信号変化が確認されることがある.超音波検査による遠位脛腓関節開大の評価も有用である.
診断のポイント
①頻度の高い足関節外側靱帯損傷と受傷肢位が異なるため,問診が重要である.
②触診で前下脛腓靱帯の
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