【疾患概念】
疲労骨折は,繰り返しの外力が加わることにより生じる骨折である.代表的なスポーツ障害だが,スポーツの有無,年齢にかかわらず生じうる.
【頻度】
主に第2,3中足骨に生じる骨幹部疲労骨折(図28-27a図)は,下腿遠位,踵骨に並び最も頻度が高い下肢の疲労骨折である.第5中足骨近位骨幹部骨折(いわゆるJones骨折,図28-27b図)は,サッカーやバスケットボールなどの競技で生じることが多い.第2中足骨基部骨折は非常にまれだが,クラシックバレエで生じることが多い.
【病型・分類】
下肢の疲労骨折は,運動制限などの保存療法で治癒するlow-risk fractureと,遷延癒合や再骨折が多く,手術を要することが多いhigh-risk fractureに分類される.骨幹部骨折は前者であり,Jones骨折,第2中足骨基部骨折は後者である.
【臨床症状】
明らかな外傷歴がなく,徐々に増悪する足部痛を訴えることが多い.Jones骨折では,不完全骨折の状態から完全骨折に至った瞬間の受傷機転が明らかな場合もある.
問診で聞くべきこと
アスリートは,スポーツ種目や練習量の増加の有無を聴取する.アスリートでなくても,旅行で長時間歩いたなど,急激な活動量の増加がなかったかを確認する.
必要な検査とその所見
丁寧な触診で圧痛部位を特定することが最も重要である.
画像検査は単純X線撮影を行うが,初期には異常がないことが多い.骨幹部骨折では2~3週後に再撮影を行うと,骨折線や仮骨を認める(図28-27a図).Jones骨折や第2中足骨基部骨折で慢性化した例では,骨折部の骨硬化像や嘴状の仮骨形成を認める(図28-27b図).単純X線で異常がない場合,MRIが早期診断に有用である.
診断のポイント
初期には単純X線で異常を認めないことがあるため,病歴と圧痛部位から疲労骨折の存在を疑うことが重要である.
専門病
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