診療支援
治療

内果疲労骨折,舟状骨疲労骨折
Stress fracture of medial malleolus,tarsal navicular
亀山 泰
(井戸田整形外科名駅スポーツクリニック 院長〔名古屋市西区〕)

【疾患概念】

 疲労骨折は骨の同じ部分に,繰り返しの力が加わることによって骨折が起こる,骨組織に起こる代表的なスポーツ障害である.足舟状骨や足関節内果疲労骨折は疲労骨折のなかでも診断がつきにくく,スポーツ活動に支障をきたし,完全骨折や遷延治癒になり治療に難渋することが多く注意が必要である.

【頻度】

 下肢の疲労骨折のなかでは,脛骨や中足骨の骨幹部疲労骨折に比べ比較的まれで,競技レベルの高いランニング系やジャンプ系のスポーツ,特に陸上競技,サッカー,バスケットボール,ハンドボール選手に多く発症し,初期には診断がつきにくく,見逃される場合が多い疲労骨折である.

【臨床症状・病態】

 症状は初期では愁訴がはっきりせず,一定しないことが特徴であるが,内果疲労骨折の場合,内果と脛骨天蓋との前方境界部の圧痛点が特徴であり,もともと軽い疼痛があって,ある衝撃で完全骨折となって走行困難となり診察に訪れることもある.舟状骨疲労骨折では痛みはゆっくりと徐々に発現しあまり局在しないが,距骨と舟状骨近位の関節面の背側中央のポイントで,体表上は前脛骨筋腱と長母指伸筋腱の間あたりの舟状骨背側近位の圧痛点が重要である.


問診で聞くべきこと

 スポーツ種目や動作,発症までの練習内容など,骨にストレスが繰り返し加わった状況を詳細に聞くことが大切で,ランニングの量や質の増加や,スポーツサーフェスやシューズなどの環境などが急激に変化した場合は発症しやすい.


必要な検査とその所見

 単純X線は初期では明らかでないことが多く,内果では,前後像で脛骨天蓋と内果関節面の境界部から垂直に内上方に向かう骨折線が特徴的である.舟状骨では,軽度内側斜位像ではっきりした骨折線を認める場合は,すでに転位のある完全骨折例か偽関節例のことが多い.まずはMRIのSTIR像で高信号にて早期診断し,CTで疲労骨折の場所やタイプを評価し,治療方針や治癒の判定

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