診療支援
治療

腓骨筋腱脱臼
Peroneal tendon dislocation
鈴木 朱美
(山形大学 講師)

【疾患概念】

 腓骨筋腱脱臼の頻度は,足関節全外傷の0.3~0.5%とまれで,しばしば見逃されることもある.長腓骨筋腱,短腓骨筋腱のうち,脱臼するのはほとんど前者で,後者が脱臼することはきわめてまれである.短腓骨筋腱は,腓骨遠位2/3に起始し,外果後方のやや近位で腱に移行し,外果後方の腱溝を経て第5中足骨部に停止する.一方,長腓骨筋腱は,脛骨外側顆および腓骨外側の近位2/3に起始し,腓骨の遠位1/3で腱に移行し,外果後方の腱溝を経て内側楔状骨と第1中足骨基部に停止する.長腓骨筋腱は長大な遊離腱部を有し,また短腓骨筋腱よりも外側に位置するため,長腓骨筋腱が脱臼しやすいとされる.

【臨床症状】

 新鮮例では足関節外果部の腫脹,皮下出血および圧痛を認めるが,脱臼は整復されていることが多い.陳旧性の場合は,疼痛や脱臼不安感を主訴に来院することが多く,脱臼を再現できれば診断は確定できる.自身で足関節背屈や

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