【疾患概念】
足底腱膜の主として踵骨付着部近傍に疼痛を訴え,歩行や階段昇降,走行において運動機能障害をきたす疾患である.踵部痛(heel pain)を呈する疾患のなかで最も多くの割合を占めており,退行性変性と使い過ぎとの関連が強い腱・靱帯付着部症(enthesopathy)の1つと考えられている.病理像から,腱膜による牽引力と荷重による圧迫力の双方が加わっていることがわかっている.マラソンなど長距離走やジャンプ系スポーツ,ジョギング愛好家などに多く,中高年者では日常診療でもよくみかけられる.
【臨床症状】
朝,起床時の第1歩目の強い痛み(initial step pain)が特徴的とされる.同様の現象は,しばらく椅子に座っていた後の立ち上がり動作時にも認められる.安静や就寝にて軽快することが多いが,翌朝には足底の突っ張り感とともに再び第1歩目の激痛を訴える.疼痛・圧痛は足底腱膜の踵骨付着部(