距骨壊死は足関節に重度の機能障害をきたし,治療に難渋することが多い疾患である.特発性以外では距骨骨折後などの外傷性距骨壊死やステロイド性,アルコール性の距骨壊死が挙げられる.距骨の圧壊を認めない早期の症例に対する保存治療として,PTB(patellar tendon bearing)装具を用いた荷重制限などがある.一方,距骨の圧壊を伴うような距骨壊死に対する手術治療として,人工距骨置換術や固定術がある.本稿では人工距骨を用いた手術治療について述べる.
人工距骨は京セラメディカル社によるアルミナセラミック製で,健側の足部CT像から三次元CADを用いてデザインしている.足関節前方アプローチで距骨を摘出したのちに,人工距骨を挿入する.手技のピットフォールとして,足関節前方アプローチでは前脛骨筋と長趾伸筋の間から進入するが,足背動静脈と深腓骨神経が皮切遠位部で外側から術野を横切るように走行することがあり注意する.距骨の摘出の際には,必要に応じて関節包や前距腓靱帯,骨間距踵靱帯などを切離する.特に距骨内側後方部分を摘出する際には,長母趾屈筋や後方の神経血管束を損傷しないように注意する.切離した靱帯に対する修復術や再建術は併用していない.距骨の圧壊に伴い脛骨天蓋面も障害されているような症例には,TNK Ankleの脛骨コンポーネントを併用したCombined TAAや,摘出した距骨の一部を用いた脛骨天蓋面の形成を併用することもある.追加処置をすることなく人工距骨置換術の単独症例に対する後療法は,局所の軟部組織の安静のために術後2週間短下肢ギプス固定として,接地程度の荷重にとどめている.その後は足関節外側靱帯用装具を着用のうえで,疼痛に合わせて全荷重を許可している.術後3か月以降に,単純X線による足関節内がえしと前方引き出しのストレス撮影を施行しているが,大半の症例において足関節の不安
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