距骨壊死は足関節に重度の機能障害をきたし,治療に難渋することが多い疾患である.特発性以外では距骨骨折後などの外傷性距骨壊死やステロイド性,アルコール性の距骨壊死が挙げられる.距骨の圧壊を認めない早期の症例に対する保存治療として,PTB(patellar tendon bearing)装具を用いた荷重制限などがある.一方,距骨の圧壊を伴うような距骨壊死に対する手術治療として,人工距骨置換術や固定術がある.本稿では人工距骨を用いた手術治療について述べる.
人工距骨は京セラメディカル社によるアルミナセラミック製で,健側の足部CT像から三次元CADを用いてデザインしている.足関節前方アプローチで距骨を摘出したのちに,人工距骨を挿入する.手技のピットフォールとして,足関節前方アプローチでは前脛骨筋と長趾伸筋の間から進入するが,足背動静脈と深腓骨神経が皮切遠位部で外側から術野を横切るように走行するこ