疲労感・全身倦怠感は非特異的な自覚症状である。原因疾患は多岐にわたり,日常診療において最も遭遇する機会の多い症候の1つである。高齢者のフレイルは加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能など)が低下した状態であるが,疲労感・全身倦怠感はフレイルを規定する重要な症候の1つである。
緊急処置
疲労感・全身倦怠感自体で緊急処置を要することはまれであるが,原因疾患によっては緊急処置を要する。特に急性発症では感染症,循環器疾患,脱水,電解質異常,出血,臓器障害(肝障害や腎障害)を除外する。高齢者では原因疾患による症状が不明確なことがあり注意を要する。
診断のチェックポイント
❶休息で回復するか:健常人でも過度の労働に伴い疲労感や全身倦怠感を感じるが,これは適切な休息により回復する(生理的疲労)。一方,休息しても回復しせず軽微な労働にもかかわらず不釣り合いに強い疲労感や全身倦怠感は病的疲労と考えられる。
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