診療支援
診断

白血球減少
Leukocytopenia
近藤 忠一
(京都大学大学院講師・血液・腫瘍内科学)

緊急処置

 白血球減少のなかで高度の好中球減少(500/μL未満)があり,腋窩温で37.5℃以上の発熱を認める場合,発熱性好中球減少症(febrile neutropenia:FN)と定義され,細菌感染症の可能性があり,急速に進行し,重症化しやすいため,内科的緊急処置が必要である。

【1】抗菌薬開始前に2セット以上の血液培養を採取する。

【2】血液培養採取後,直ちに広域抗菌薬を開始する(経験的治療)。

【3】顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)投与を考慮する。

診断のチェックポイント

定義

❶白血球減少症:白血球数の正常値は4,000~9,000/μLであり,3,000/μL未満を一般的に白血球減少症とする。

❷好中球減少症:白血球には,好中球,リンパ球,好塩基球,単球などがあるが,成人では好中球が最も多く(50~70%),白血球減少のなかで要因として頻度が最も多いのは好中球減少である。好中球数が1,500/μL未満が好中球減少症とされ,500/μL未満の高度減少の場合,無顆粒球症とよぶ。

❸リンパ球減少症:好中球の次に多い白血球分画はリンパ球であり,一般的に1,500/μL未満の場合,リンパ球減少症とよぶ。ただ,リンパ球減少があっても白血球減少の原因にはなりにくく,本項では好中球減少に焦点を絞り解説する。

❹白血球減少そのもので,症状があったり,診察で異常を認めることはなく,以下の評価により原因を推測することが重要である。診断にあたっては,問診,身体診察,諸検査により総合的に考察する必要がある。

【1】病歴

❶白血球減少の程度と分画の割合,およびその減少速度:健診など以前の血液検査の結果があれば重要な情報となる。好中球数が1,000~1,500/μLであり,以前と比較し緩やかな減少であり,他の血球(赤血球と血小板)が正常の場合は,無症候性で,経過観察で問題ない場合が多い。

❷薬歴:好中球減少の原

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