緊急処置
血管内を流れる血液の粘稠度(viscosity)が上昇すると血流が遅延して滞り,末梢の循環障害をきたす。これにより出血症状や中枢神経症状,眼症状などをきたした場合は,輸液などに加えて血漿交換などの血液粘稠度を低下させる緊急処置が必要である。
診断のチェックポイント
●定義:血液粘稠度の上昇による血流遅滞のために,細血管の脆弱性が高まり,粘膜出血や眼底出血などの出血症状や,循環不全に基づく視覚異常や末梢・中枢神経症状,および心不全などの臓器障害を呈するものを過粘稠度症候群(hyperviscosity syndrome)とよぶ。過粘稠度症候群の症状は,血漿粘稠度(Ostwald法)が4.0 centipoise以上で出現することが多い。血液粘稠度の増加と症状の発現や重症度は相関しており,進行すれば非可逆的な重篤な臓器障害をきたすことがある。
【1】病歴と身体所見
❶臨床症状:出血傾向,眼症