診療支援
診断

アシドーシス
Acidosis
菅野 義彦
(東京医科大学主任教授・腎臓内科)

緊急処置

【1】呼吸性アシドーシス:単純な酸素投与から,人工呼吸器を含むICU管理まで状態に応じてさまざまなレベルの心肺機能のサポートが必要になる。

【2】代謝性アシドーシス:利尿または炭酸水素ナトリウムの静脈注射が有効であるが,双方を急いで行う必要があれば血液透析を代表とする急性血液浄化が必要である。

診断のチェックポイント

❶アシドーシスの分類:血液ガス分析は最も迅速に結果が得られる検査の1つであるため,重症患者の診断全体の流れのなかで最初に判明するのがアシドーシスという状況もありうる。しかし酸塩基平衡の異常には必ず原因があるため,これを鑑別することが治療や隠れた疾患の発見につながる。大きく呼吸性・代謝性・混合性に分類され,さらに代償機構もあるため厳密な病態の解釈は難しいが,初期治療に対する反応も診断のための重要な情報である。

❷血液ガス分析:pHのほかに酸素分圧(PO2),二酸化炭素分圧(PCO2),重炭酸イオン(HCO3)濃度などが測定される。原則的にはPCO2,HCO3の高値がみられれば呼吸性,PCO2,HCO3の低値がみられれば代謝性と考えられるが,慢性疾患により基礎値が変動している可能性もあるため,下記に照らし合わせて病態として把握する。

【1】病歴

❶既往歴:心疾患,肺疾患→呼吸性。糖尿病,慢性腎臓病→代謝性。

❷現病歴・症状:呼吸苦の出現は呼吸性を示唆すると考えがちであるが,末期腎不全では心不全症状としての呼吸苦を呈するため,鑑別が必要である。

❸生活歴:喫煙→呼吸性。飲酒→代謝性。

【2】身体所見

❶バイタルサインの異常(心肺機能の低下を示すもの)→呼吸性。

❷喘鳴,チアノーゼ→呼吸性。

❸脱水→代謝性。

【3】検査

❶動脈血ガス分析および血清電解質検査:アシドーシスの重症度と病態の推定を行う。pHが7.4未満をアシドーシスとするが,同時に測定されるPCO2やHCO3の高値が

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