緊急処置
【1】低カリウム(K)血症に伴い心電図変化がある場合,あるいは筋力低下・麻痺性イレウスなどの重篤な症状を認める場合:経静脈的にKを補充する。
❶Kはメインの輸液製剤に希釈し,腎機能に注意して初期投与濃度を決定する。投与速度は最大で20mEq/時以内とされている。
❷ブドウ糖やアルカリの負荷はKの細胞内シフトを促し,低K血症を遷延させる要因となるため,メインの輸液製剤には生理食塩液を用いるのが望ましい。
❸過補正に伴い高K血症が認められうるため,K投与に際しては血清K濃度および心電図をモニターする。
診断のチェックポイント
●定義:血清K濃度が正常下限(3.5mEq/L)以下に低下した場合を低K血症とよぶが,筋力低下や不整脈などの症状は2.5~3.0mEq/L以下で認められることが多い。
【1】病歴
❶低K血症をきたす薬剤の内服はないか(ループ利尿薬,サイアザイド系利尿薬,甘草を含む漢方薬など)。
❷既往歴(高血圧,甲状腺疾患,自己免疫疾患)。
❸下痢・嘔吐の有無,摂食量。
❹ミオパチーを示唆する易疲労感や脱力症状はないか。あるとすればいつからか。
【2】身体所見
❶血圧:血圧上昇があれば二次性高血圧に伴う低K血症を疑う。
❷脈拍:不整脈の有無を確認する。心疾患を有する患者では低K血症に伴う不整脈誘発のリスクが上昇する。
❸ミオパチーの合併の有無。
■徒手筋力検査
■腹部聴診(腸管蠕動音)
【3】検査
❶心電図:T波の平坦化,U波の出現,QT延長,期外収縮や房室ブロックなどはないか。
❷尿電解質(Na,K,Cl,Cr):尿中K排泄は蓄尿による1日排泄量測定が正確だが,迅速な判断のためには随時尿によるカリウム/クレアチニン比(U-K/Cr)が用いられる。尿中K>20mEq/日あるいは>15mEq/gCrであれば腎性喪失を考える。他の電解質も診断の一助となる。代謝性アルカローシスを伴う低K血症で,尿中Cl<1