診療支援
診断

せん妄
Delirium
八田 耕太郎
(順天堂大学教授・精神医学講座(順天堂大学医学部附属練馬病院))

緊急処置

【1】興奮を鎮める必要がある場合:内服に協力できなければハロペリドールの静注(点滴投与も含む)あるいは筋注を行う。量は,年齢・体格などによるが,初回5分の1アンプル~1アンプルの範囲が一般的である。

【2】せん妄の機序精査に頭部CTやMRIを必要とするが協力を得られない場合:ミダゾラムによる鎮静を行う。その際,拮抗薬フルマゼニルを用意する。

診断のチェックポイント

覚醒度が低下して注意や見当識の障害が急性に発症し,視覚優位の幻覚や錯覚を伴い,短時間のうちに変動する(図1)。夜間に出現・増悪することが多い。

❷睡眠覚醒サイクルの障害はほぼ必発である。

❸低活動型では,不安,抑うつ,無欲様顔貌といった症状が表面的には目立つ。

定義:せん妄の診断のゴールドスタンダードは,米国精神医学会の診断基準DSM-5である。表1の項目を満たすことが必須である。

【1】病歴

❶急性発症であるかを確認する。一般

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