緊急処置
眼痛の原因が強アルカリによる化学外傷であることが明らかな場合には,直ちに流水(または生理食塩液)による洗眼を開始し,できるだけ早く専門施設に紹介する。
診断のチェックポイント
●定義:眼もしくはその付属器に生じる痛みの総称である。外傷,異物,紫外線などの外的要因によって生じる場合と,急性緑内障発作,ぶどう膜炎,視神経炎などの内的要因によって生じる場合がある。
【1】病歴
❶視力低下を伴うか:視力低下を伴う眼痛は緊急治療を要することが多い。
❷発症のきっかけはあるか:紫外線曝露,コンタクトレンズ長期装用(→角膜障害),強い鈍的外傷(→眼窩吹き抜け骨折)。
❸痛みの性状はどうか:砂が入ったような異物感(→角膜上皮剝離または結膜異物),刺すような痛み(→三叉神経痛)。
❹眼のほかに症状はあるか:頭痛・嘔気(→急性緑内障発作),関節痛・発熱(→ぶどう膜炎)。
❺全身疾患の既往や服薬はどうか:多発性硬化症(→視神経炎),抗コリン作動薬内服(→急性緑内障発作)。
【2】身体所見
❶充血を伴うか:眼脂を伴った強い充血(→細菌性結膜炎,ウイルス性結膜炎),瘙痒感を伴った両眼性の充血(→アレルギー性結膜炎),視力低下を伴った充血(→血管新生緑内障,急性緑内障発作,角膜感染症,角膜びらん)。
❷眼瞼腫脹はあるか:部分的な発赤を伴った眼瞼腫脹(→霰粒腫),眼瞼全体の発赤腫脹(→眼瞼炎,眼窩蜂窩織炎)。
❸眼周囲に異常所見があるか:鼻尖部・鼻背部の皮疹(→眼部帯状ヘルペス),耳前リンパ節の腫脹(→流行性角結膜炎)。
【3】検査
❶眼科的検査
■必須
・視力検査:指数弁以下の視力であれば緊急性あり。
・対光反応検査:瞳孔径,対光反応の消失(→急性緑内障発作)の有無を確認する。
■可能であれば:細隙灯顕微鏡検査。充血の性状,角膜の広範なフルオレセイン染色(→角膜びらん),浅前房の有無を評価する。
■可能であれば:眼圧検査。著しい