診療支援
診断

乳房腫瘤
Breast Mass
穂積 康夫
(筑波大学附属病院茨城県地域臨床教育センター,乳腺内分泌外科・教授)

診断のチェックポイント

 乳癌は女性の悪性腫瘍のなかでは最も多く,乳癌を心配し乳房腫瘤を主訴に受診する。全乳房腫瘤のなかで乳癌の頻度は数%程度と決して多くないので,不必要に不安をあおることは慎むべきではあるが,乳癌を確実に診断することが重要である。

【1】病歴:病歴を詳しく聴取することで,乳癌の危険因子を把握することができる。病歴として以下に挙げる項目(現病歴,既往歴,生活歴,家族歴)を聴取する。

❶現病歴

腫瘤に気づいた時期,腫瘤の経時的変化,痛みの有無,月経周期との関係などを聴取。有痛性で月経周期で腫瘤が変化する場合,乳癌の可能性は少なく,下記の線維囊胞性変化であることが多い。

乳汁分泌の有無,その性状(透明,乳白色,褐色,あるいは血性か)。透明や乳白色であれば,病的意義は乏しいことが多い。

❷既往歴

過去に診断された乳癌,乳房の生検の有無とその結果を確認する。乳癌の既往がある場合には乳癌のリ

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