診断のチェックポイント
●定義
❶過酸状態とは:胃酸分泌が亢進している状態をイメージするが,必ずしも胃酸分泌が亢進している状態ではない。胃酸により出現したと考えられる症状を有する状態を一般に過酸状態とよんでいることが多い。
❷過酸状態を意味する代表的な症状:胸やけ,呑酸,心窩部痛,心窩部灼熱感などがある。
【1】病歴
❶問診のポイント:胸やけ,呑酸,食事摂取で増悪・軽減する心窩部痛などの症状を認めることが多く,診察の初期段階においてこれまでの病歴を詳細に問診することが,適切な診断につながる。後述する問診票なども用い,十分な問診を心掛けるべきであり,症状が最も強い時間帯,症状の増悪軽減因子(食事の前後,姿勢)などが疾患の鑑別と治療の参考となることが多い。
❷胸やけ,呑酸を引き起こす代表的な疾患は胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)〔逆流性食道炎,非びらん性逆流症(non-erosive reflux disease:NERD)〕であるが,消化性潰瘍,胃癌(特に幽門狭窄を認めるような症例)でも胸やけ,呑酸を認めることがあるので注意を要する。
【2】身体所見
❶酸逆流症状を疑う所見:過酸状態において他覚的な身体所見を呈することはほとんどないが,過酸状態の代表的な酸逆流症状(胸やけ,呑酸)であることを疑う所見としては,1)食後の症状,2)過食時,高脂肪食摂取時に出現する症状,3)咳嗽時,急激な前屈姿勢時に出現する症状である。
❷心窩部痛を疑う所見:過酸状態による心窩部痛を疑う所見としては,心窩部の痛み,食事摂取との関連性を有する症状である。
【3】検査
❶上部消化管内視鏡検査:食道粘膜傷害(逆流性食道炎)の評価や悪性腫瘍の除外に有用である。胸やけ,呑酸を有し,食道粘膜傷害が存在しない場合にはNERDと診断される。
❷食道多チャンネルインピーダンス・pHモ
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